特別講演・ランチョンセミナー
特別講演
松本 理器(まつもと りき)
現職
神戸大学大学院医学研究科 脳神経内科学分野 教授
神戸大学医学部附属病院 院長補佐、脳神経内科診療科長
略歴
平成 6年 京都大学医学部卒業
平成12年 クリーブランドクリニック神経内科てんかん・臨床神経生理部門クリニカルフェロー
平成15年 京都大学大学院医学研究科博士課程修了 医学博士
平成24年 京都大学大学院医学研究科 臨床神経学講師
平成28年 同 臨床神経学准教授
平成30年 神戸大学大学院医学研究科 神経内科学分野教授
令和元年5月 同 脳神経内科学分野教授(分野名変更)
令和3年2月 神戸大学医学部附属病院 院長補佐、同 診療録センター長 兼務
神戸大学大学院医学研究科 脳神経内科学分野 教授
神戸大学医学部附属病院 院長補佐、脳神経内科診療科長
略歴
平成 6年 京都大学医学部卒業
平成12年 クリーブランドクリニック神経内科てんかん・臨床神経生理部門クリニカルフェロー
平成15年 京都大学大学院医学研究科博士課程修了 医学博士
平成24年 京都大学大学院医学研究科 臨床神経学講師
平成28年 同 臨床神経学准教授
平成30年 神戸大学大学院医学研究科 神経内科学分野教授
令和元年5月 同 脳神経内科学分野教授(分野名変更)
令和3年2月 神戸大学医学部附属病院 院長補佐、同 診療録センター長 兼務
現職
神戸大学大学院医学研究科 脳神経内科学分野 教授
神戸大学医学部附属病院 院長補佐、脳神経内科診療科長
略歴
平成 6年 京都大学医学部卒業
平成12年 クリーブランドクリニック神経内科てんかん・臨床神経生理部門クリニカルフェロー
平成15年 京都大学大学院医学研究科博士課程修了 医学博士
平成24年 京都大学大学院医学研究科 臨床神経学講師
平成28年 同 臨床神経学准教授
平成30年 神戸大学大学院医学研究科 神経内科学分野教授
令和元年5月 同 脳神経内科学分野教授(分野名変更)
令和3年2月 神戸大学医学部附属病院 院長補佐、同 診療録センター長 兼務
皮質皮質間誘発電位:着想から臨床応用への道のり
Cortico-Cortical Evoked Potential: from conception to clinical application
Cortico-Cortical Evoked Potential: from conception to clinical application
Eloquent Cortex近傍の病変の手術の際には、病変の最大限の摘出と同時に術後の脳機能温存が重要となる。近年の覚醒下手術や術中MRIの普及は、病変の摘出術および術後の機能温存に大いに貢献してきた。加えて、術中にreal time に、皮質・白質を含めた脳機能ネットワークを電気生理学的にモニタリングできれば、多角的に脳機能温存が可能となり得る。私は留学先のクリーブランドクリニックでHans Lüders先生、Dileep Nair先生の指導のもと電気的線維追跡法である皮質皮質間誘発電位(Cortico-Cortical Evoked Potential: CCEP)を着想し開発する機会に恵まれた。その後、前任地の京都大学病院で脳神経外科・内科one teamでの臨床・研究の推進から、てんかん外科の術前評価や術中機能モニタリングにCCEPを臨床応用することができた。CCEPの源流は、Bancaud先生の弟子のBusarらのSEEGを用いた電気刺激による海馬と扁桃体の結合様式の探索に遡る。素晴らしいメンターとのbrainstormingが、21世紀のデジタル脳波の時流に乗り、系統的な刺激による多チャンネルでのCCEP計測に繋がり、急性・慢性の頭蓋内電極留置を用いた生理検査として世界のてんかん・脳腫瘍センターで普及が始まった。私自身の研究生活を振り返りながら、着想から臨床応用への道のりを紹介し、本領域の将来展望についても触れてみたい。
ランチョンセミナー1
福多 真史(ふくだ まさふみ)
現職
国立病院機構西新潟中央病院脳神経外科,臨床研究部長
略歴
1987年 新潟大学医学部卒業
1995年 国立療養所西新潟中央病院(現在の国立病院機構西新潟中央病院)脳神経外科勤務
1999年 アメリカ合衆国ニューヨーク州ノースショア大学病院留学〜2001年
2003年 新潟大学医歯学総合病院脳神経外科 助教
2008年 新潟大学医歯学総合病院脳神経外科 講師
2012年 新潟大学脳研究所脳神経外科 准教授
2015年 国立病院機構西新潟中央病院脳神経外科 神経部長
2021年 国立病院機構西新潟中央病院脳神経外科 臨床研究部長
国立病院機構西新潟中央病院脳神経外科,臨床研究部長
略歴
1987年 新潟大学医学部卒業
1995年 国立療養所西新潟中央病院(現在の国立病院機構西新潟中央病院)脳神経外科勤務
1999年 アメリカ合衆国ニューヨーク州ノースショア大学病院留学〜2001年
2003年 新潟大学医歯学総合病院脳神経外科 助教
2008年 新潟大学医歯学総合病院脳神経外科 講師
2012年 新潟大学脳研究所脳神経外科 准教授
2015年 国立病院機構西新潟中央病院脳神経外科 神経部長
2021年 国立病院機構西新潟中央病院脳神経外科 臨床研究部長
現職
国立病院機構西新潟中央病院脳神経外科,臨床研究部長
略歴
1987年 新潟大学医学部卒業
1995年 国立療養所西新潟中央病院(現在の国立病院機構西新潟中央病院)脳神経外科勤務
1999年 アメリカ合衆国ニューヨーク州ノースショア大学病院留学〜2001年
2003年 新潟大学医歯学総合病院脳神経外科 助教
2008年 新潟大学医歯学総合病院脳神経外科 講師
2012年 新潟大学脳研究所脳神経外科 准教授
2015年 国立病院機構西新潟中央病院脳神経外科 神経部長
2021年 国立病院機構西新潟中央病院脳神経外科 臨床研究部長
顔面運動誘発電位モニタリングの歴史と今後の発展
○福多 真史1)、伊藤 陽祐1)、平石 哲也2)、大石 誠2)、藤井 幸彦2)
国立病院機構西新潟中央病院脳神経外科1)、新潟大学脳研究所脳神経外科2)
顔面運動誘発電位(facial motor evoked potential: FMEP)モニタリングの最初の報告は、Dong CCJら(2005年)によるものと思われる、それまでは、後頭蓋窩病変や頭蓋底病変に対する手術中の顔面神経モニタリングと言えば、顔面神経を直接電気刺激して、顔面筋から誘発電位を記録する方法が主流であった。この方法は、腫瘍などに顔面神経が巻き込まれている際に神経走行を確認するためには有効であるが、顔面神経のroot exit zone側で刺激しない限り、術中に顔面の運動機能の評価は困難である。FMEPは顔面神経が術野に確認できない大きな腫瘍性病変などでも、全身麻酔下であればいつでも記録が可能であるという点で画期的なモニタリング方法であった。しかし、刺激部位と記録部位の距離が近接しているため、刺激のアーチファクトが大きく、またcurrent spreadによる偽反応が誘発される恐れもある。当時新潟大学で、このFMEPモニタリングを導入するにあたって、刺激条件、刺激部位、記録方法など様々な工夫を行い、安定してFMEPが記録できるようになった。また、頭蓋底病変に対する術中のFMEP所見と術直後および術後長期の顔面運動機能の予後との関係、更には片側顔面けいれんの神経減圧術中におけるFMEPモニタリングの有用性ついても検討してきた。その後、FMEPモニタリングが各施設で広く行われるようになり、本邦を含めその有用性について数多くの論文が報告されるようになった。最近の論文では、従来のmonophasic刺激よりもbiphasic刺激の方が安定してFMEPが記録できるとされており、当院でも片側顔面けいれんに対する神経減圧術中にbiphasic刺激によるFMEPモニタリングを導入して、その有用性を検証している。FMEPモニタリングについて、導入時から現在までを振り返って、あらためてその有用性と限界を確認し、今後の展望について概説する。
国立病院機構西新潟中央病院脳神経外科1)、新潟大学脳研究所脳神経外科2)
顔面運動誘発電位(facial motor evoked potential: FMEP)モニタリングの最初の報告は、Dong CCJら(2005年)によるものと思われる、それまでは、後頭蓋窩病変や頭蓋底病変に対する手術中の顔面神経モニタリングと言えば、顔面神経を直接電気刺激して、顔面筋から誘発電位を記録する方法が主流であった。この方法は、腫瘍などに顔面神経が巻き込まれている際に神経走行を確認するためには有効であるが、顔面神経のroot exit zone側で刺激しない限り、術中に顔面の運動機能の評価は困難である。FMEPは顔面神経が術野に確認できない大きな腫瘍性病変などでも、全身麻酔下であればいつでも記録が可能であるという点で画期的なモニタリング方法であった。しかし、刺激部位と記録部位の距離が近接しているため、刺激のアーチファクトが大きく、またcurrent spreadによる偽反応が誘発される恐れもある。当時新潟大学で、このFMEPモニタリングを導入するにあたって、刺激条件、刺激部位、記録方法など様々な工夫を行い、安定してFMEPが記録できるようになった。また、頭蓋底病変に対する術中のFMEP所見と術直後および術後長期の顔面運動機能の予後との関係、更には片側顔面けいれんの神経減圧術中におけるFMEPモニタリングの有用性ついても検討してきた。その後、FMEPモニタリングが各施設で広く行われるようになり、本邦を含めその有用性について数多くの論文が報告されるようになった。最近の論文では、従来のmonophasic刺激よりもbiphasic刺激の方が安定してFMEPが記録できるとされており、当院でも片側顔面けいれんに対する神経減圧術中にbiphasic刺激によるFMEPモニタリングを導入して、その有用性を検証している。FMEPモニタリングについて、導入時から現在までを振り返って、あらためてその有用性と限界を確認し、今後の展望について概説する。
ランチョンセミナー2
丸田 雄一(まるた ゆういち)
現職
Brain Function 代表
略歴
平成 3年 山口大学医療技術短期大学部衛生技術学科 卒業
平成 3年 宇部興産中央病院 検査室
平成 4年 山口大学医学部附属病院検査部
平成20年 山口大学医学研究科博士後期過程 修了 博士(医工学)
平成21年 山口大学医学系研究科脳神経外科学講座 就職(助教)
平成27年 山口大学医学系研究科脳神経外科学講座 退職
平成27年 Brain Function 開業(代表)
Brain Function 代表
略歴
平成 3年 山口大学医療技術短期大学部衛生技術学科 卒業
平成 3年 宇部興産中央病院 検査室
平成 4年 山口大学医学部附属病院検査部
平成20年 山口大学医学研究科博士後期過程 修了 博士(医工学)
平成21年 山口大学医学系研究科脳神経外科学講座 就職(助教)
平成27年 山口大学医学系研究科脳神経外科学講座 退職
平成27年 Brain Function 開業(代表)
現職
Brain Function 代表
略歴
平成 3年 山口大学医療技術短期大学部衛生技術学科 卒業
平成 3年 宇部興産中央病院 検査室
平成 4年 山口大学医学部附属病院検査部
平成20年 山口大学医学研究科博士後期過程 修了 博士(医工学)
平成21年 山口大学医学系研究科脳神経外科学講座 就職(助教)
平成27年 山口大学医学系研究科脳神経外科学講座 退職
平成27年 Brain Function 開業(代表)
下肢MEPモニタリングの刺激法に関する考察
現在本邦では、C3、C4に刺激電極を設置する経頭蓋刺激筋記録MEPが標準的方法となっている。この電極の位置で、下肢MEPの記録を試みたが、下肢運動野を刺激しようとすると、上肢のMEPも記録されてしまう。脊髄や脳幹機能のモニタリングとしてはこれで良いとしても、皮質機能の評価は困難であると考えた。また、刺激に伴う激しい体動は、顕微鏡下(脳神経外科)手術には向かないことがわかった。では、脳神経外科領域における下肢MEPはどうしたらとれるのだろうか。さらに得られたMEP波形は正しく病態を反映し、十分に臨床的意義を満たしているのだろうか。
本発表では、自身がどう考えて、どの様な結果を得てきたかを可能な限り詳細に説明する中で、実臨床において下肢MEPの有用性を引き出し、多くの施設で実施していただくためのヒントと下肢MEPの意義を理解したモニタリング法の実践に寄与する情報を提供したいと考えている。
キーとなったのは刺激法の基本原理の理解であった。結果的にCz'(Czの2cm後方)を陽極刺激することで、下肢MEPが比較的容易に記録できるようなった。しかし、Cz' の部位が開頭野となる手術や、陰極電極と陽極電極(Cz')の間に絶縁領域や固定ピンによる刺激伝導の変更(避雷針)状態など新たな問題も生じた。そこで、全てが手詰まりとなった場合や可能な限り皮質に限局するような刺激が求められる場合には、頭蓋内刺激を用いてのMEPが必要となる場合も存在した。
本発表では、自身がどう考えて、どの様な結果を得てきたかを可能な限り詳細に説明する中で、実臨床において下肢MEPの有用性を引き出し、多くの施設で実施していただくためのヒントと下肢MEPの意義を理解したモニタリング法の実践に寄与する情報を提供したいと考えている。
キーとなったのは刺激法の基本原理の理解であった。結果的にCz'(Czの2cm後方)を陽極刺激することで、下肢MEPが比較的容易に記録できるようなった。しかし、Cz' の部位が開頭野となる手術や、陰極電極と陽極電極(Cz')の間に絶縁領域や固定ピンによる刺激伝導の変更(避雷針)状態など新たな問題も生じた。そこで、全てが手詰まりとなった場合や可能な限り皮質に限局するような刺激が求められる場合には、頭蓋内刺激を用いてのMEPが必要となる場合も存在した。